ディッキアの育て方をまとめました。
これから育てる方の参考になれば幸いです。
ディッキアとは
パイナップル科ディッキア属
近縁のヘクチア・エンコリリウム属と共にグラウンドブロメリアと称される。
原産地
ブラジル原産
吹きさらしの岩場や水場の近くの砂礫に自生している
強烈な日射し、乾燥といった過酷な環境でも生息できる。
同時に水場の近くにも自生していることから水好きともいえる。


特徴
ロゼッタ状に葉を展開させ、パイナップルの葉の様な見た目をしている。
葉の縁には鋸歯と呼ばれる鋭いカギ爪があり、攻撃的な見た目から白いトリコームを纏った神秘的な姿まで幅広いバリエーションが存在する。

乾燥にも強く、雨ざらしでも根腐れすることが少なく、珍奇植物の中でも育てやすい部類と言える。
園芸品種の作出も進んでおり、現在国際ブロメリア協会で登録されているだけで約400品種(※1)。独自に呼称しているものも含めると1000品種は超えていると思われる。

アメリカで作出された品種(USハイブリットと呼ばれる)はBill Baker氏、Bryan Chan氏の作品が有名で今日のディッキア人気の基礎を作ったと言える。
最近ではタイのブリーダーのSueb氏、Otto氏が作出した最新品種が続々とリリースされており、ファンを魅了している。


出典:Bromeliad Cultivar Register (15303)
DYCKIA ‘Taiyo’
https://bsi.org/registry/showImg.php?id=29630
育て方
ディッキアを育てるのに大切なポイントを簡単にまとめました。

※こちらの年間管理表は太平洋沿岸部の地域(具体的には静岡県中部の平野部)を想定しています。
・お住いの環境(地域や山間部など地形的要素)で管理移行時期が前後します。
桜の季節や夜間の最低気温などを目安にしていただければ失敗は少ないと思います。
・水やりの頻度は目安になりますので詳しくは水やりの章をご参照ください。
詳しくは以下の章で解説していきます。
置き場所
日当たり・風通しが良い場所を好む。
春~秋
直射日光・雨ざらしの露天環境下で元気に育ちます。
逆に日当たりの悪い場所では本来の顔(鋸歯・色あいの表現)が出ず徒長する場合が多い。
トリコームの濃い種(白系ディッキア)は白い色合いをキープする為に意図的に雨の当たらないフレーム環境で管理する育種家もいる。
春先の注意点
桜が咲くころには室内管理から屋外管理へ移行する(最低気温10℃くらい)
移行後の一ヶ月は寒さに順応させる為、雨の当たらない軒下で管理する。
冬場
屋内管理 推奨(日当たりの良い窓辺)
最低気温5℃を下回るころには屋内管理へ移行する。
ディッキアは強光が無いと退色・徒長するのでできる限り日当たりの良い窓辺におく。
LEDライトで補光もしくは、徒長と退色を割り切って春先から作り直すのもひとつの手である。
屋外管理(軒下)
ディッキアの耐寒性は原種・園芸品種ごとに差があり一概には言えないが、概ねの種は水やりを少なくし、日当たりのよい軒下など(雨・風・霜をしのげる環境)であれば最低気温‐1~2℃までは耐えられる。
それ以下の気温になると葉が凍結し芯抜けを起こし、最悪枯死する。特にマルニエルラポストレイの系統は寒さに弱く氷点下付近でもダメージがあるので室内管理をおすすめする。
不織布掛けも有効である。
屋外越冬は枯死のリスクがあるので、いきなり試すのではなく子株が取れてバックアップができた状態でトライすることをおすすめする。

水やり
春~秋口
週1~2回 鉢底から水が流れ出るまでしっかりと水やりをする。もしくは雨ざらし。
ディッキアは水をあげ過ぎても根腐れすることはほとんどなく管理は容易である
※ただし長期の越し水など雑菌が繁殖した水は腐る可能性があるので注意
・小苗は鉢の保水量が少ないので葉先が枯れるようであれば水やり頻度を増やす
・水やりを辛めにすると株が引き締まり、鋸歯や色合いの表現がよく出る。
きれいに作る趣味家は意図的に水やり間隔を調整している。
枯れない程度に引き締めるには日々の観察が必要で、水が少なすぎると葉先が徐々に枯れてくる(このタイミングで水やりすれば問題なし)そのように株の顔色を見ながら特性を掴んでいくのも園芸の醍醐味である。
春先の注意点
桜が咲く頃に外管理へ移行してからの一ヶ月の水やりは2週間に1回用土が軽く湿る程度にする。
これは外の寒さに順応させる為、植物の水分量を減らして耐寒性を高める措置である。

秋
夜間の最低気温10℃を下回るころから水やりのペースを徐々に落としていく。
雨ざらしは避ける(軒下管理へ移動)
冬場
屋内管理へ移行もしくは最低気温5℃下回った後の水やりは2~3週間に1回用土が軽く湿る程度おこなう。
用土を軽く湿らせるのは根の先端が枯れるの防ぐ為である。根の先端を枯らさないことで春先の立ち上がりが良くなる。
葉先の枯れこみが進行するようであれば水やりの間隔を短くする。
注意点
鋸歯
ディッキアの鋸歯が指に刺さったり、服に引っかかることがあります。
お子様やペットがいるご家庭では手が届かない場所に置くなどご注意ください。
また植え替えの際は手袋着用をおすすめします。
害虫
基本的に害虫被害は少ないが、ハダニ・アザミウマが発生した事例がある
対処方法
殺虫剤の使用
スプレータイプの殺虫剤、浸透移行性剤(葉や根から薬剤を吸収して植物自体に一定期間の殺虫効果を持たせる)などがある
まとめ

ディッキアは直射日光雨ざらしで元気に育つので非常に育てやすい植物です。
幅広いバリエーションを持つの植物なのであなたのお気に入りの株を見つけてみてはいかがでしょうか。

※時期の目安は太平洋沿岸部の地域(具体的には静岡県中部の平野部)を想定しています。
お住いの地域や山間部など地形的要素で時期が前後します。
桜の季節や夜間の最低気温などを目安にしていただければ失敗は少ないと思います。
参考文献
※1 Bromeliad Society International Cultivar Registrar
コメント
頑張って下さい!