パキポディウム ラメレイとは



学名
Pachypodium lamerei (パキポディウム・ラメレイ)
原産地
マダガスカル南西部の乾燥地帯に自生している(※1)
特徴
柱状に生長するパキポディウム。幹には刺を有し、細目のライトグリーンの葉を茂らせる。最近では園芸店でもよく見られるようになった。その姿をよく観察すると刺の太さ・幹の肌色(緑・銀白・黒地など)いつくものバリエーション存在する。その為好みの株をよく吟味して選ぶ必要がある。
現地では最大6mまで成長する。生長は旺盛で日本でも1年で5~8㎝ほどは生長する。しかし園芸として育てるサイズでは枝の分岐はほとんど起こらない。
強健な性質から管理の難しいパキポディウム(光堂・恵比寿笑いなど)の台木としても利用されている。
通常のラメレイよりやや小型になる性質の変種var.ramosumなどがある。



育て方
パキポディウム ラメレイを育てるのに大切なポイントを簡単にまとめました。

※こちらの年間管理表は太平洋沿岸部の地域(具体的には静岡県中部の平野部)を想定しています。
・お住いの環境(地域や山間部など地形的要素)で管理移行時期が前後します。
桜の季節や夜間の最低気温などを目安にしていただければ失敗は少ないと思います。
・水やりの頻度は目安になりますので詳しくは水やりの章をご参照ください。
詳しくは以下の章で解説していきます。
置き場所
日当たり・風通しが良い場所を好む。
春~秋:屋外管理(時期により…雨のあたらない軒下~露天)
冬:屋内管理(日当たりの良い窓辺)
春先~夏
屋外管理への移行時期は「桜が散る頃」または「夜間の最低気温が10℃以上」を目安とする。
その際枝先に新芽が芽吹いていなければ、株はまだ休眠しているので移行時期を遅らせる。
屋外移行後1ヶ月は冷たい雨が株へ当たらないように軒下で管理する。
パキポディウムは休眠明けに多量の水分と寒さにあてると株の調子を崩し、場合によっては根腐れを起こす場合がある。軒下移行後の水やりには注意する(水やり参照)
ひと月経過したころには軒下から露天へ移動しても問題ない。
根腐れ:塊根部がブヨブヨになり腐りが発生する状態。最悪は株が死滅する。
秋口
夜間の最低気温15℃を下回ったあたりで株を軒下へ移動する。
気温が下がることで株の生育が鈍くなる。
雨ざらしを避け、株への水分供給を徐々に減らして休眠へ誘導する。
冬場
パキポディウムは寒さには弱く冬場は屋外での冬越は不可である。
夜間の最低気温10℃を下回る前に株を屋内へ移動する。
日光と昼間の温度確保のため、日当たりの良い窓辺に株を置くことを推奨する。
最低気温10℃はキープできる環境が望ましい。
自生地環境から考えてもパキポディウムは耐寒性を備えていない。
過去に軒下越冬を試みたが、氷点下を記録するころには塊根部がブヨブヨになり死滅した。
パキポディウムを育てるには冬場に屋内で管理できる環境が必須である。
水やり
春先
パキポディウムの休眠明けの水やりはとにかく少量からあたえる
※多量の水を与えると根が吸いきれず、根腐れを起こす恐れがある。
ひと月も経つ頃には株も水を吸えるようになるのでその間の水やりは慎重におこなう。
軒下移行直後
軒下移行した直後は1週間ほど水やりを控える(屋外管理の慣らし期間)
その後10日に1回ほどのペースで水やりをする
始めは用土が軽く湿る程度の量で徐々に水量を増やしていく。
軒下移行からひと月後…
株の状態を観察し、用土が乾いたら鉢から水が溢れるまでたっぷりと水やりをする
水やりのペースは1週間に1~2回が目安
※お住いの環境によって用土が乾くまでの期間に違いがあります(日当たり・風通しの良し悪し)
株の状態を観察して水やりのペースを探ってみてください
春先以降は雨ざらしにしても問題ない。
雨の量にもよるが、雨にあてれば水やりとしてカウントする。
水やりが面倒という方には手間いらずでおすすめである。
(梅雨時期・秋口は軒下管理)
梅雨~夏
雨ざらしは株の調子を上げるので基本は雨ざらしで問題ない。
柱タイプのパキポディウムは水分過多で根腐れを起こす心配は少ないが、心配な方は梅雨後半は軒下へ移動した方が無難である。
梅雨明けからの時期は旺盛に生長するので株は水分を求めている。
2日に1回もしくは毎日水やりをしてもよい。
秋口
夜間の最低気温15℃を下回るころから水やりのペースを徐々に落としていく。
雨ざらしは避ける(軒下管理へ移動)
水やり頻度を落とすことで株を休眠状態へ誘導する。
冬場
屋内管理へ移行したら水やりは月に1回用土が軽く湿る程度おこなう。
株が休眠していなくても低温期は根の活動が停滞している。
多量の水は根腐れを起こす恐れがあるので注意する。
完全に断水しても枯れることは無いが、用土を軽く湿らせて根の先端が枯れるの防ぐ
根の先端を枯らさないことで休眠明けの立ち上がりが良くなる
注意点
毒性
パキポディウムの樹液には毒性がある(※2)
毒性は低い部類ですが、剪定などの作業で手に樹液が付着した際は速やかに洗い流すこと。
またペットが葉などを誤食しないよう置き場所にはご注意ください。
根腐れ
パキポディウム育てる上で一番注意が必要なのは根腐れである。
休眠期・休眠明けは根の活動が停滞しているため、多量の水やりは根腐れの原因になる。
詳しくは春先・冬場の項目を参照
冬場の管理
置き場所
パキポディウムは寒さには弱く冬場は屋外での冬越は不可である。
夜間の最低気温10℃を下回る前に株を屋内へ移動する。
日光と昼間の温度確保のため、日当たりの良い窓辺に株を置くことを推奨する。
最低気温10℃はキープできる環境が望ましい。
自生地環境から考えてもパキポディウムは耐寒性は備えていない。
過去に軒下越冬を試みたが、氷点下を記録するころには塊根部がブヨブヨになり死滅した。
パキポディウムを育てるには冬場に屋内で管理できる環境が必須である。
水やり
屋内管理へ移行したら水やりは月に1回用土が軽く湿る程度おこなう。
株が休眠していなくても低温期は根の活動が停滞している。
多量の水は根腐れを起こす恐れがあるので注意する。
完全に断水しても枯れることは無いが、用土を軽く湿らせて根の先端が枯れるの防ぐ
根の先端を枯らさないことで休眠明けの立ち上がりが良くなる
害虫
環境によってはアブラムシ・ハダニ・カイガラムシが葉につくことがある。
対処方法
①粘着テープ・つまようじ等で害虫を付着させ取り除く
②殺虫剤の使用
スプレータイプの殺虫剤、浸透移行性剤(葉や根から薬剤を吸収して植物自体に一定期間の殺虫効果を持たせる)などがある
まとめ
パキポディウム ラメレイの育て方
注意すべき点は時期による水やりと冬の置き場になります。
これから育てようと考えている方の参考になれば幸いです。

※時期の目安は太平洋沿岸部の地域(具体的には静岡県中部の平野部)を想定しています。
お住いの地域や山間部など地形的要素で時期が前後します。
桜の季節や夜間の最低気温などを目安にしていただければ失敗は少ないと思います。
参考文献

出典:GTA 2019. Pachypodium lamerei. The IUCN Red List of Threatened Species. Version 2022-1
https://www.iucnredlist.org/species/69222038/69226017
“Pachypodium lamerei Drake“
Royal Botanic Gardens Kew
https://powo.science.kew.org/taxon/80705-1
”Toxicity of the spiny thick- foot Pachypodium”
https://www.researchgate.net/publication/324709242_Toxicity_of_the_spiny_thick-foot_Pachypodium
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